Jun 07, 2011

名刺の管理に時間を割く必要があるか

大量の名刺があればまた机から発酵してしまうような状況になるわけですが、名刺を管理することで、あまりにも時間を費やしてもいかがですか?名刺読み込みソフトされることがあり、PCで名刺を管理する方法もありますが、このところ一年ごとに役職や部署が変わるという大企業も、多くの努力が無駄になる可能性があります。名刺管理もちょっととしましょう​​か?
仕事をしていると、名刺というのはどんどんたまっていく一方です。それを放置しては、のちのち困ったことがある可能性がないので、きちんと名刺を管理することが不可欠です。必要な名刺、不必要な名刺を分けて、それを名刺ホルダーか何かに入れておくだけで、一緒にどこかにヅルボダヌン、非常にわかりやすいです。名刺の管理は​​非常に重要です。
 ビー玉を体中に貼り付けた鹿を見たことがあるだろうか。もちろん野生ではなくて剥製の鹿、である。大小さまざまな大きさの丸いガラスビーズを身にまとった鹿は、遠くから見ると何かデキモノができているようで少々気味が悪い。

【「名和晃平─シンセンス展」の他の画像】

 ともすると、キラキラと丸い飾りがついてキレイだわあ、という人もいるだろう。近づいてみると、部分によってクリアなビーズの奥にある体毛が密集している様子が拡大されて見えたり、ガラス同志が反射して真っ白い像が表れたり、ガラスの中にある気泡が歪んだ形で見えたり……。鹿を見ているようで、そこにあるものはすでに鹿じゃない違う物体になっている。果たして、目の前にいるものは、何なのか?

 いま、日本はもとより世界からも多くの注目を集めている、若手現代美術家・名和晃平の個展「名和晃平展─シンセンス」が、東京・木場の東京都現代美術館で開催されている。本展では、名和氏がこれまで取り組んできた7つのシリーズ、そしてそこから派生した5つ、計12の部屋で名和晃平の作品世界が堪能できる構成になっている。

 冒頭で紹介した作品は「BEADS」シリーズ。名和氏が学生時代から疑問を持ち続けていた、情報化時代における「虚像」と「実像」の本質に迫るものだ。インターネットのオークションで集めた素材をガラスビーズで覆う。素材である剥製は、ネット上では1つの「情報」であり、届いた時点で「実体」となり、ガラスビーズで覆われるとその実体が失われ、ガラス越しに見た鹿の剥製は「虚像」となる。しかしビーズで覆われた鹿は物体として確かにそこに存在するので、「新しい実像」ともいえる。

 何が実像で何が虚像なのか、考えていくとどんどん頭がぐちゃぐちゃしていきそうだが、名和氏の探究はそれに留まらない。

 虚像と実像を突き詰めていく中で、名和氏は3Dスキャンという手法に出合う。3Dスキャナーでスキャンをすると人体もデジタルデータとなる。この真っ青な空間では、2体セットになった見上げる程の大きな像が空間を埋め尽くしている。「POLYGON」シリーズだ。

 カクカクしたものと滑らかなもの、解像度をズラした2体がセットになっているようだ。高解像度のものの方がより実像に近い、のだろうが、何を持って実像とするのか……。2体とも実像ではないのかもしれない。POLYGONもBEADSは違うシリーズなのだが双方素材が2体重なり合っている。それについて名和氏が話していたことが興味深かった。

「鹿の剥製を海外からよく仕入れていたのですが、あるとき、みんな同じポーズをしているということに気が付きました。昔見た剥製はいろんなポーズをしていたように思うんですが、こんなところでも効率のためのフォーマット化が行われていたことに気付いてがく然としたんです。生き物を情報として扱っているのではないかと。そこから鹿をダブらせる手法が生まれました」

 ダブっている鹿同士は、違う個でもちろん個体差がある。生き物がフォーマット化されてしまっている。POLYGONは同じ被写体の、まったく同じ瞬間に取った3Dスキャンデータの解像度を下げ、少しずらした彫刻だ。その2体はほんの少し情報が違うだけの存在。双子とも違うし、分身とも違う。だが、2体は離れることはできない。

 名和氏の興味は、「BEADS」や「PRISM」などに見られる実体を虚像に仕立てる、実体と虚像の感覚を揺るがすところから、データを素材に作られた彫刻の実体性についてと少しずつシフトしてきているという。

 以前に佐藤雅彦氏が21_21 DESIGN SIGHTで開催した「“これも自分と認めざるを得ない”展」では、指紋や身長体重、虹彩、心音……とさまざまなアイデンティフィケーションの一部だけを見たときに、それが自分といえるのか、と最後までぐるぐる考えさせられた。データだけ見せられて「これがあなたです」といわれると、ムカッともするが、それが外れたときの残念さたるや。複雑な気持ちで会場を後にしたのも記憶に新しい。

 名和氏の作品は、対象が自分ではないがどこからが生物でどこからが人工物なのか、対象のフォルムだけを残した状態でその対象に対する感情が湧くか、そんなことを考えさせられた。

 次の作品は、名和氏が最近取り組んでいるパブリックアートの模型である。実体を虚像に仕立てるところから、3Dデータから彫刻を作るプロジェクトが派生し、このプロジェクト「MANIFOLD」が生まれた。manifoldとは多様体、多岐官を表す言葉で、3Dソフトを使って最初の設計図が作られる。

 空間に球体を配置し、引力によってそのかたちを変型させていく。「コンピュータで作られる立体物に対し、できるだけ自分の手、フィジカルな力を加えていきたいと思った」と名和氏はいう。この彫刻は韓国のチョナンに設置される予定のもので、完成予定サイズは13×15×12メートル(高さ×幅×奥行き)の巨大なものになるという。

 体を動かし、最新の技術を使い、素材の実験を繰り返して、名和氏は人間がいままで見たことのない新しい価値や感覚への接続口を次々と開いていく。空間ごとの境界も見事で、真っ白な空間を通り抜けたと思ったら、黄色い部屋へと誘われ、奥に控える青い部屋は何かと一歩足を踏み入れると、その奥にはオレンジの光が差し込む。

 空間は分断されずに、すべてがひと続きになって吸い込まれるように回遊できる構成になっているのだ。そして、それぞれの部屋では、見ることへの疑い、物質への疑い、実存在への疑い……。新しい体験を1つするとさらに新しい疑問が沸き起こり、ぐるぐる歩き回ることになる。見る順番を変えると、また違った体験ができる。

 個人的に気になった作品は「SCUM」というシリーズである。以前にメゾンエルメスでこの作品を見たときには、正直いまいちよく分からないという印象だった。オブジェクトをSCUMが覆うシリーズは分かるのだが、この抽象的なぐにょぐにょした、近くで見ると鳥肌が立ってしまいそうな気持ち悪さ。理解できない。しかし、気持ち悪いといいながらも、この作品は頭の中に強烈な印象を刻み込んでいた。

 今回、さらに巨大化した「SCUM」が、空間にうねうねとはびこり、私たちに迫り、途中で溶け出している。説明を聞くとscumというのは、「灰汁」などの意味を持つ。虚像と実体を追い求め、情報が肥大化し、沸々と湧き上がった一部のものは作品化するが、そこからさらにぶくぶくと漏れでて制御不可能になったものが「SCUM」として登場するのだ。

 ゆえに形に意味もなく、情報や作品が大きくなればなるほど、このSCUMは増殖していく。この、ある種の気持ち悪さを包含する存在も含めて、世界を構成しているということを私たちは認識しなければならない。この存在を忘れてはならない、と訴えられているように思えた。

 会場には一切説明キャプションがない。鑑賞者のそのときの気持ちでとらえればいい、と名和氏はいう。じっと見ていたらどこか異世界に入り込んでしまうような作品もあり、空間全体で感じる作品もあり、ダイナミックでただただ圧倒されてしまう作品もあり、五感プラス脳の奥の方をくすぐられるような感覚が存分に堪能できる展覧会だ。何度もぐるぐる体感してほしい。8月28日まで。

●名和晃平─シンセンス展
開催中〜8月28日(日)
東京都現代美術館 東京都江東区三好4-1-1
お問い合わせ:tel.03-5777-8600

【上條桂子,エキサイトイズム】
Copyright (C) 1997-2011 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.


【関連記事】
コカ・コーラとパスザバトンのコラボ
六本木ヒルズに期間限定「FLOWER SHOP」が出現
今もっとも注目すべき作家・名和晃平「シンセンス」
ポルシェ ミュージアムで「ポルシェ エンジニアリングの80年」
ノートではない、モレスキンの新コレクション
Posted at 09:21 in Photo | WriteBacks (0) | Edit
WriteBacks
TrackBack ping me at
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.